作家インタビュー2017-丹水窯 田中聡-
今回のTanbaStyle作家インタビューは丹水窯 田中聡さんです。
独自の白を追求し続ける田中聡さん、どんなお話が聞けるでしょうか?
丹波焼を広げていかないと行けない危機感
TanbaStyleも活動を始めて4年目になりますが、そのとき以前からから産地としてもっと丹波焼を広げていかないといけないなという危機感を持っていたという聡さん。
TanbaStyle創設者の秀之さんからお誘いを聞いた時、すぐにやろうと決めたといいます。こういうなにか新しいことを頑張っているという活動はお客様にも伝わるし、産地として活気が出たり内外に刺激を与えることもできるので、そういう面でも活動に参加できるのは嬉しいことだったといいます。
自分の基準を上げることができたTanbaStyle
焼物屋というのは、商品・作品が出来上がるまで基本1人の仕事が多いです。TanbaStyleでは同じ商品を複数人で作り上げていくので色んな意味で刺激を受けることが多いです。その点は、TanbaStyleの活動をしていてよかったことの1つだといいます。
商品開発をしていく中で、技術的に吸収できることはもちろん、同じ商品を作るということで、「あぁここまできちんと創りあげるのか」と自分の中での商品の基準を上げることができたのも大きな収穫だったと語ってくれました。
苦心の中 達した境地「土の面倒をみてあげる」
TanbaStyleではリムプレートを担当してる聡さん。洋食の器の特徴である広いリムをきっちり作り上げるのには当初かなり苦労をしたといいます。
土のたわみや、釉薬との相性で焼き上がり時にひずんだりで商品としてNGのものが多かったそうです。メンバーと協議したり経験を重ねていくことで達した結論は「土の面倒をみてあげること」。
成形した土はそのままでは自分の手の形を覚えていたりするので、乾燥の過程で様子を見ながら少しずつ理想の形になるように手を加えていくのだとか。
手間はかかりますが、これでしっかりとした品質の商品ができあがるようになったといいます。これを「土の面倒をみてあげる」と独特の表現で語ってくれました。
粉引にかける思い
以前より粉引(こひき)の質感に特別惹かれていたという聡さん。
TS+(TSブランドをベースに作家が独自の技法で創りあげた商品)でも、その白の発色と粉引の質感は独特の魅力が出ています。
使っていくうちに水分や食材の成分が染みこんだり、変わっていくところに粉引のひとつの魅力がありますが、現代のニーズに合わせて「食器として毎日使ってもらうためには使いやすさも大切」と水分などが染み込まない加工をしているそうです。
食器としての機能性も兼ね備えた上で粉引の質感、雰囲気を出す。究極にシンプルで、何気なく毎日使ってしまう器づくりを目指しているという聡さん。
世代を超えて使ってもらえることが何より嬉しい、とのことでした。
山・緑・自然の中での仕事が作品や商品につながっていく
梅雨の時期に入り、丹波焼の郷 今田町では山の緑が一段と濃くなっています。
そんな素晴らしい自然の中で仕事ができることは丹波焼、丹波立杭のいいところだといいます。魅力ある作品や商品が産まれるのも、作家の力とその豊かな自然環境の中でこそといいます。
丹波に帰ってきて20年になるという聡さん。自分の器を世代を超えて使ってもらえるように、粉引の魅力をさらに高めるよう日々努力して頑張っていきたい!と、熱意を持って語ってくれました。
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