作家インタビュー2017-丹文窯 大西雅文-
TanbaStyleに声をかけてもらったときは、グループ窯(丹波焼の若手作家グループ)の長をしていた大西雅文さん。
「何か面白いことをやっていこう」ということでTanbaStyleに誘われたときは、「今まで同じ年代の人達との活動が多かったけど、今回は比較的年が離れている先輩方と仕事ができる」という部分で楽しみにも感じたといいます。
シンプルな形に自分色を
雅文さんの作風といえば、土の力強さや荒々しさを全面に出した作風が特徴で、その作風に惹かれるファンもたくさんいらっしゃいます。
TanbaStyleの器は、洋食の器ということですでに形が決まっており、その形も比較的端正でシンプルな形になっています。
作家独自の作風を出せるTS+は、TSブランドの形や大きさは変えずに、色や技法などは作家独自の作風を出していく、というルールで制作されています。
自分で考えた形ではなくシンプルな形に雅文さん独自の作風を施していくのは、TanbaStyleとして自分なりのチャレンジの1つだったといいます。
「実際にできてみると意外にもいいものになっている」、というのは1つの発見だったといいます。
丹波の土へのこだわり
TanbaStyleの器づくりは「苦手なジャンル」といい、形がきれいに整形できても釉薬をかけるとひずんでしまったり、特にTS Whiteでは焼き上がりのゆがみに相当苦戦しました。
それを克服するため、TanbaStyleでは丹波の陶土を研究機関に調査してもらってどのような特徴があるのか、また歪みや伸縮などをどうすれば対応できるのかということまで突き詰めて活動しています。
つい先日の12月6日、岐阜県のセラミックス研究所にメンバー全員で訪ねて、丹波の陶土について科学的な分析やよくするための提案などをしていただきました。
特に、日頃から丹波の土にこだわりを持ち、土自体も自ら生成することが多いという雅文さん。
土や釉薬をまた違った側面から知ることができるこのような活動は個人的にも楽しみで、それを産地にフィードバックできるのは本当に有意義な活動だと語ってくれました。
丹波の伝統を次世代に伝える 強い思い
TanbaStyleのメンバーは、それぞれに焼き物への携わり方が様々です。
現代生活の使われ方を敏感にキャッチアップして、それをどう陶器(丹波焼)として表現するかを考えて作品を生み出すやり方もあれば、とにかく自分の中から作品を生み出すやり方もあります。
端的に言ってしまえば、「職人」としての関わり方か「作家」としての関わり方か、といえると思います。
丹波焼の陶芸家は多かれ少なかれどちらの要素も持っているものですが、雅文さんはTanbaStyleのメンバーの中では一番「作家」的な側面が強い作家さんといえます。
お話の隅々に丹波へのこだわり、伝統へのこだわりがあり、「この丹波の伝統を次世代に伝えていく」というのを大きな使命として陶芸に向き合っているように強く感じました。
雅文さんといえば、「赤」のイメージを持っている方も多いですが、ルーツはやはり丹波の土そのものが持つ活き活きとした力強さ。丹波焼らしさを自分なりに突き詰めていく意気込みは人一倍強いものがあると感じます。
TanbaStyleがTanbaStyleであるために
丹波焼の陶芸家たちは「いい意味で仲が良く」また、それが「不思議でもある」といいいます。
丹波焼は他の産地に比べれば「若手も多く」そのため尚一層「伝統を未来へ繋げる」意義があるように思います。
色々な強みを持つメンバーが集まって活動しているTanbaStyle。
丹波という地に人一倍こだわりを持つ雅文さんの存在は、TanbaStyleがTanbaStyleであるために必要不可欠な存在だと感じました。
丹波焼の伝統をどのように作品として表現していくのか、今後も本当に楽しみですね!
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